記事一覧

漣のきこえる森~prologue・m-side

エセパラレルファンタジー設定のミリアリアside。
許せる方だけどうぞ。
 
 
 
続き
 
 
 
 


未だ森の木々さえ朝靄の中に霞み、茂る下草が葉表に露の玉を結んでいる頃。
その露に濡れるのも厭わず、無心に葉を摘み傍らの籠にそっと入れる姿があった。

年の頃は二十歳に少し足りないくらい、少女の面影をほんの少しだけ残した色白の横顔。
摘んだ葉を吟味し真剣に見つめる瞳は海の色。
時折独り言のように何か呟きを放つ唇は桜の色で。
しかし、草花摘みに来たにしては、装いが普通の女性のそれではなく、長袖の上着と同じく足首まで両の脚を覆う下衣、腰には鞘に収まった小振りの剣が下げられている。
些か物騒な出で立ちだった。
剣士というには装備が軽装で、おそらくはいざという時の立ち居振る舞いを軽くするための身なりと、護身のための剣であろう。

この辺りに遥か広がってる森は、その中に隣国との境を有しており、深く鬱蒼たる枝が幾重にも重なっている。
昼間であればどうにか視界も開けているが、薄暗くなってくると周りの景色が似たような様なので迷うことも多い。
それに、いつから誰が言い出したのか真偽の程は判らないが、恐ろしい魔物も出ると噂されていた。
彼女もそれを十分に承知しての森への侵入だと思われる。その証拠が彼女の出で立ちだった。

其処の場所で最後に摘み取った葉や花を丁寧に籠に仕舞い、ゆっくりと腰を上げる。
やっと木々の間から朝陽が差し込んできた。
眩しげに目を眇めながら大きく伸びをして、摘んだ草花を入れた籠を背負うと、彼女はさっと周りを見渡した後、元来た道を帰るべく森の入り口へと足を向け歩き出して行った。

が、その姿を朝靄の中の梢の上からじっと見つめる二つの瞳があったことには些かも気付くことはなかった。
 
 


~以下、オフ本にてどうぞ…
(20080902webup)