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ミリたん、ハピバ!!

ハピバssです。
<続き>からどうぞ。
 

続き
 
 

【pray for dawn】

今年もこの日が巡ってくる。
何の灯りも音もなく静かに過ごす部屋で光を放っているのは、使い古したノートパソコンのモニターと、お気に入りのアロマキャンドルの小さな炎。
仄かな香りと暖かな炎がゆらゆらと立ち上り、私を包んでいる。
一日の最後に迎える、この時間が大好きだ。


モニターの時計があと数分で新しい日が来ることを示している。
きっと日付が変わっても、いつもの日々と何ら違(たが)うことのない朝が来て、私は身支度を整え、エレカのハンドルを握り、仕事場へと出かけて行くのだろう。

顔なじみの仲間と会い、ファインダーから世界の景色を見、ひたすらシャッターを切る。
ここ数年続いている繰り返しの毎日は、何よりの平和の証だとほっと小さく息を吐いて思った。


心の中でカウントダウンの数字を数える。
…30秒前……10秒前、9、8、7……3、2……。
午前0時ジャスト。
開いたメールボックスに次々とハッピーバースディのメッセージが飛び込んできた。
思いがけずオフィシャルなボックスにも届いていて驚いていたら、プライベートなボックスには懐かしい顔を思い出させるアドレスが幾つか並んだ。
こんな他愛もない日を覚えてくれていてありがとう、素直な気持ちが沸き上がる。
一つ一つメッセージを開ける。

キラ、サイ、カズイ、マリューさん。
アークエンジェルで一緒に過ごした面々は今でも親交がある。
カガリの名前の次にはアスランまでもが名を連ねる。

そう言えば、このノートも随分前から使っているけれど、たまたまカガリの元を訪ねた時に調子が悪くなって、そばにいたアスランが直してくれたことがあった。
バージョンが古くて手持ちのパーツが使えないと、新しいものを取り寄せるから数日預からせて欲しいと言われた時は、そこまでしてもらう理由がないと固辞したのに、どうしてもと頑に譲らない彼に私も折れた。
『友達なんだからいいじゃないか。遠慮するなよ。アスランはそういうの得意だから、使えるヤツは使っとけよ』
カガリの屈託のない笑顔に押されたのかも知れない。
そろそろ買い替えも考えていたから、そこまでしてもらう訳にはいかなかったのだけれど。
数日後に渡されたノートは、躯体こそ変わっていなかったのに、中身は全くの別のスペックになっていた。
あれからしばらく経つが調子は上々で、今でも私の愛機として頑張ってくれている。
いつだったか、見てくれに釣り合わないスペックを持つのに気づいたアイツが、不審気な顔で聞いてきたこともあった。
アスランにレストアしてもらったのよ、と何気ない風に答えたら、微妙に複雑そうな表情を見せてたことも思い出す。

遠く宇宙(プラント)からはラクスとイザークから。
彼女らしい細やかで暖かい文面と、イザークの性格をそのまま表したような生真面目な文面に心が和む。


それから数分後。
やっと送られてきた一通のメッセージ。
自分でも思いの外、待ち侘びていたのかと一人苦笑いする。
時間をずらして送ってくるところなんか、どうにも捻くれた心根の持ち主だと呆れる。
きっと、ジャストの時間は皆のメッセージに埋もれてしまうと考えての行動だろう。

ありきたりな文章の、一番最後に。
一番待ち焦がれて、一番欲しかった言葉が、今では一番好きになってしまった彼から届いた。

『生まれてきてくれて、ありがとう。
 君のご両親に感謝します。
 愛するミリアリアへ』


気障な言葉が嫌味なほどよく似合うアメジストの瞳を思い浮かべ、ベッドに潜る。
短い眠りを貪ったら、少し早起きをして、夜明けの空に祈ろう。

この平和の時間(とき)の永続を。
奇跡の出会いに、感謝しながら。


左手の薬指に嵌められた、小さな石の埋まったリングにそっと口づけて、私はゆっくりと瞼を閉じた。
 
 

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ミリたんハピバssでした。
お目汚しで申し訳なく…!